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12月5日、草加市議会12月定例会開会日に、ペア校である「長栄小学校と新田中学校」の給食調理を民間委託にするための補正予算案が山川市長から提出されました。加えて山川市長は、開会日当日に議決をする「先議」を議会側に申し出ており、議案質疑、委員会審議が行われ、質疑を行う中で議員から「さまざまな疑義」が出され、「先議の必要なし」と議会側が判断。通常の議案と同様に委員会審議→採決、本会議採決は最終日となりました。
私が所属する市民共同議員団を代表し、佐藤憲和議員が議案質疑を行いました。
その後行われた委員会審議では、わたくし斉藤雄二も議案提出に至る説明や経緯に多くの疑義があり、質疑を行いました。
主な内容を紹介します。
議案提出に至った経緯
正規公務員である調理師が来年3月末で4人退職予定。非正規である会計年度任用職員の調理師も3人不足しているため、学校給食の提供体制を維持するため、教育委員会は調理師の採用を市長部局である総務部に要請。人数はせめて退職者数と同数4人の採用を希望。
求人を行ったところ11人の応募(現職の会計年度職員として調理業務に従事していた5人を含む)があり、そのうち6人が学科や論文試験の一次試験を通過。
ところが、二次試験の面接ですべて落選として、10月28日に採用ゼロを決定。
11月5日、採用ゼロを総務部から教育委員会に通達。
11月6日、「令和7年4月以降の学校給食の提供体制について(伺い)」を教育委員会が起案。
11月8日、議会会派への説明資料が完成。
教育委員会は学校給食の提供体制を維持するため、民間事業者に見積依頼。日時は質疑したものの明確にされなかった。民間事業者から参考見積もりが返ってきたのが、11月7日1社、8日3社、11日1社だった。
今回補正予算額として提出されている金額は、上限1億2704万3千円。この金額は、5社の見積もり合計額の平均を算出したものと同額とのこと。
※市長相談を一回実施したとのこと。(時期確認中)
市長から「丁寧に進めるよう」指示があったとのこと。
11月中旬ごろから、市議会各会派への説明を実施。
11月30日、12月定例会の議案提出。
わずか4週間で議案を作成し、12月議会定例会開会日初日での議決を山川市長が求めてきました。
問題点1.計画なき委託化の推進
市役所の仕事の進め方として「計画的に進める」が基本です。
学校給食を委託する場合、「〇〇年度に△△中学校の給食を委託する。」計画を作り、教職員や保護者、現場で働く調理師や職員労働組合、議員などと意見交換を繰り返し行い、理解と合意を得ながら進めるものです。
計画なく、行き当たりばったりで委託が進めば、学校給食だけではなく、保育なども「退職不補充→委託」を認めることに繋がってしまいます。
問題点2.子どもたちや保護者、教職員、調理師との意見交換、合意形成は皆無
影響を受ける当事者である子どもたちや保護者、教職員などとの意見交換は行われていませんでした。議会で指摘され「12月12日に学校長、学校評議員長、PTA会長に説明の場を設ける」 としているものの、それぞれの「長」だけの説明でいいのでしょうか。こどもまんなかはどこにいったのでしょうか。
問題点3.草加市の最高規範とされている「みんなでまちづくり自治基本条例」の趣旨に反する
「だれもが幸せなまち」と山川市長が繰り返し述べています。
その根拠となっているのが「みんなでまちづくり自治基本条例」です。
第12条 市は、施策の進捗状況や意思決定の過程について、市民にわかりやすく説明します。
2 市は、市民から意見、要望、苦情などがあったときは、速やかに事実関係を調査し、誠実に応答します。
3 市議会は、市民に対し、市政に関する説明責任が十分に果たされるよう努めます。
草加市は、今回の学校給食の民間委託について、市民や議会に対して説明を省いて、市長と教育委員会の一部の合意だけで委託をすすめようとしています。この進め方は最高規範である「みんなでまちづくり自治基本条例」の主旨に反しています。
今後の展望
9日に開かれた総務文教委員会でも結論が出ず、委員から「審議先送り」と意見が出ました。
現在のところ、12日の説明会後いつの日程で審議するか、決まっていません。
この議案は、単なる給食提供方式の変更にとどまらず、市政全体の透明性や信頼性、さらには市民参加型の政策決定のあり方を問う試金石になる可能性があります。
草加市の学校給食とは
・全校自校調理方式を採用しており、暖かい給食が提供されています。
・可能な限り地元産の食材を使用し、地産地消を推進しています。
・自校調理方式のため、子どもたちに応じたアレルギー食を提供しています。
・中学校は民間事業者へ委託、小学校は草加市直営で給食提供がされています。