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上記の画像は草加都市計画図です。左上に「290m」と明記し赤線で引いた部分が、都市計画道路 南浦和越谷線の草加市部分にあたります。草加市と川口市、越谷市に隣接し、草加市にとっては最北西部にあたります。
南浦和越谷線とは、どんな道路?いくらかかるの?
南浦和越谷線は、昭和 46 年 3 月 26 日に決定された都市計画道路。
路線全長として、西はさいたま市から川口市草加市の通り、東は越谷市までを結ぶ全長約12km の県南東部の広域幹線道路で、現在そのうち約 9km が整備済み。
平成16年に積算した当時の概算で 48 億円。草加市の負担割合は 5 分の 1で、概算で 12 億円を想定している。
南浦和越谷線のメリットは?
さいたま市、川口市草加市および越谷市の 4 市を結ぶ県南東部の県南東部地域の東西方向における広域幹線道路であるとともに、最終的には柿木町を通り、東埼玉道路に通ずる路線。
通過交通の減少に伴う市内道路の渋滞軽減や、さいたま市から東埼玉道路までの所要時間の短縮並びに緊急時、災害時における一般国道 298 号の代替としての機能が挙げられると考えられている。
草加市の最上位計画「都市計画マスタープラン」では「計画の見直しを検討」と明記
上記の画像通り、必要性を精査するとともに、事業着手や必要性に応じた計画の見直しを検討と明記されています。
つまり、草加市にとって、都市計画道路 南浦和越谷線は、優先順位が限りなく低い道路であるということです。
50年以上前の計画道路が突然動き出したのはなぜ?
東埼玉道路周辺開発が進み、東埼玉道路に高速道路の整備も進められている。
広域的な視点から、「埼玉県が主体」となり事業を進めることについて、令和 2 年度に埼玉県より打診があり、役割分担や費用負担スケジュール等調整を進めてきた。
複数の市町村が関係する広域行政は、都道府県の責任で行う
地方自治法上、都道府県の役割は、地方公共団体が処理する事務のうち、広域にわたるもの。市町村に関する連絡調整に関するもの。その規模または性質において、一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理するものと規定されている。
12億円の草加市負担の根拠は、法律でも条例でもなく、県が独自に定めた「要領」
草加市が負担を予定している12億円の根拠はなにか
「埼玉県が施行する街路事業に係る市町村負担金徴収事務取り扱い要領」に基づき、5分の1を負担する
12億円という多額な税金を支出するのに、根拠は法律でもなく、条令でもなく、県が独自に定めた「要領」です。
草加市にとっての南浦和越谷線は、道路法も、地方財政法も、支払い根拠はない
それでは、法律上に支払い根拠となる記載があるのか、見てみます。
道路法第61条 道路管理者は、道路に関する工事に因つて著しく利益を受ける者がある場合においては、その利益を受ける限度において、当該工事に要する費用の一部を負担させることができる。
地方財政法第27条 都道府県の行う土木その他の建設事業(高等学校の施設の建設事業を除く。)でその区域内の市町村を利するものについては、都道府県は、当該建設事業による受益の限度において、当該市町村に対し、当該建設事業に要する経費の一部を負担させることができる。
道路法は「著しく利益を受ける者がある場合、利益を受ける限度において、費用の一部を負担させることができる。
地方財政法は「受益の限度において、建設事業に要する経費の一部を負担させることができる。
となっています。
つまり、草加市にとって、著しく利益があるのかで、負担するかどうかの判断がされるべきです。
広域行政を進めるために、県民税を支払っている
草加市民が収めた住民税は約272億8千万円。
そのうち6割の約164億3810万円が草加市に、4割の約108億4280万円が埼玉県に納められています。
草加市には、県民向けの県営施設はなく、埼玉県が草加市に適切な予算投下をしているのか、よく見ていかなければなりません。
結論 都市計画道路南浦和越谷線は、埼玉県の責任で整備すべき道路であり、草加市が12億円の負担金を投じるべきではない
都市計画道路南浦和越谷線は、広域道路であり、その整備の責任は埼玉県にあります。
法律上も、草加市が財政負担をしなければならない根拠もありません。
地方公共団体は法律によって仕事を進める団体であり、法律の内容を超えた「埼玉県独自の要領」に基づく支出は認められません。